家計簿は意味ない?家計の入出金管理をすることで得られるメリットを解説!

みなさんは家計簿をつけたことがあるでしょうか。家計簿は以前のような書籍への記入から様変わりし、アプリで記入する形の家計簿も増えています。その一方で従来からのノート型も根強い人気あります。家計簿アプリでは共働き夫婦が記入してお互いで閲覧したり、レシートをスマートフォンのカメラで移すと買い物内容が瞬時に入力されたりと驚きの進歩です。今回は家計簿や家計簿アプリを使い、家計の入出金をすることで得られるメリットを解説していきます。

著者 工藤 崇
(FP-MYS代表取締役社長)

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2級FP技能士
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家計簿をつけることで何が変わるのか

家計簿をつけると、家計における支出が可視化されます。食費、交際費、水道光熱費といった内訳も分かります。支出には毎月大きく金額が変わらない固定費(地代家賃など)と、毎月の生活によって金額が左右する変動費(食費や交際費)に分かれます。

 

家計簿から節約をするためには変動費の管理がポイント

家計簿をつけても固定費はさほど変わりません。毎月家計簿を付けたから借りているマンションの家賃が上下する可能性は低く、また返済している住宅ローンの返済額は変わりません。家計簿をつけることで効果があるのは変動費です。特に食費と交際費は、実際に家計簿が算出する金額と、「今月これくらい使ったかなあ」という認識には大きな差異が生まれます。この差異を詰めつつ、前月や昨年同月と比べて金額が増えていたら対策をする、これが家計簿の活用です。支出の管理は家計簿という形を取らなくてもExcelの管理でも代替できますが、グラフや推移表が一目でわかると、家計簿をつけるモチベーションが維持されます。

 

水道光熱費は固定費から変動費に

以前は水道光熱費も固定費に定義する方が多い印象でした。ただ最近、電気代やガソリン代は著しい価格上昇を続け、多くの方の家計を圧迫しています。とはいえ電気代節約のためにロウソクで暮らすわけにはいきませんので、毎月の電気代が当月の収入に対して〇%なのか、相対費を出しておくことで使い過ぎか否かを判断できます。もちろん夏場や冬場のエアコン使用は仕方の無いものなので、季節差も踏まえて可視化していきましょう。支出の変動測定は前年と比較してどうか、が算出できる2年目以降により大きな効果を期待できます。

 

家計簿は家族全員で見ることで効果が最大に

家計簿は継続しているけれどいまいち家計が改善できていない、そんなお悩みを持つ方も多いでしょう。多くの方の場合、家族の誰かが熱量を持って家計簿を書き進めても、ほかの家族は無関心だったり、時折ちらっと見るだけだったりといったパターンが多いです。

 

支出管理は家族の誰かが単独でできるものではありません。誰かが支出過剰を危惧し、「もうちょっと節約をしようよ」と言っても、ほかの家族が小言に受け取ってしまえば家計簿への熱量、強いては家計管理のモチベーションは下がります。

 

このような事態を受け、インターネットを使った家計簿アプリ作成会社は2021年頃から「共働き家計簿アプリ」を次々と発売しています。ぜひGoogleでスマートアイデアのお金レコ、もしくはOshidoriといったサービスを見て頂ければと思います。これらは夫婦でお互いに家計簿をつけることで、夫婦間の家計管理の熱量を同等化し、家計管理のモチベーションを上げることを目的としています。今後、このような家族全員で家計簿をつける習慣が主流となっていくのではないでしょうか。

 

財布の別々な夫婦が増えている?

さて、FPとして個別相談をしていると、財布の紐が別々の夫婦の相談をよく受けます。昔は女性が実家暮らしから結婚することが多かったためか、結婚当初から1つの生計が多い印象でした。最近は独身時に自立した女性も多くなり、結婚は2つの財布を合わせる作業から始まります。お互いの尊重という流れも手伝い、結婚後も2つの財布を併用することになります。専門家視点では財布の紐が別々であっても特段問題ありませんが、双方がお互いの財布の状況を知らないというのは改善の余地があります。

 

たとえば片方の財布から食費を出し、もう片方から水道光熱費を出すという具合です。交際費などはお互いに上限をつけ、自由に使う形が多いでしょうか。いずれにしても双方の財布の中身が見えないことには、家計管理はできません。そのためお互いがアプリに入力し、わざわざ情報共有をしなくても閲覧できる構成のサービスがあれば、需要は高いといえるでしょう。

 

まとめ

家計簿は家計の状態を可視化する優れものですが、家族のなかの作成者と他の家族の熱量が違えば、家庭内不和のもとにもなりかねません。家計の入出金管理をすることは家計簿の第一歩です。作成した家計簿のデータをもとに、家族で時間をとって話し合い、家計をどのような方向に持っていったらいいのかを共同で進めましょう。食費は物価高に直面し、水道光熱費やガソリン代も高止まりしています(2023年9月現在)。だからこそ家計簿を活用し、この状況を各家庭が乗り越えられることを祈念しています