こんにちは。
生命保険など金融商品を販売しない独立系ファイナンシャルプランナーとして活動しています大野翠と申します。
FP歴は10年、さらに宅地建物取引士でもあり、金融全般と不動産について、日常的にお客様のお悩みを解決するお手伝いをしています。
また、2019年より毎月テーマを変えてマネーセミナーを開催しており、これまで延べ300人超の参加者様にご来場いただきました。
本記事では、そのセミナーやマネーコンサルティングでもお客様のリクエストの多かった「家の購入を検討しはじめた際の対処法」について紹介します。
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著者:大野翠さま
公式HP:芙蓉宅建FPオフィス~長崎で宅建とFPといえば - 芙蓉宅建FPオフィス
URL:https://fuyotakkenfpoffice.jimdofree.com/
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悩むポイントと対処法
これまで賃貸暮らしだった人が、「家を買おうかな」と考え始める理由として、以下のようなものがあります。
- ライフイベントの変化(結婚、出産など)
- 先々の家賃を払うより購入が良いのではないかと感じた
- 価格的に購入できそうな物件を見つけた
それではここから、各ポイント別に概要と対処法についてまとめていきます。
ライフイベントの変化
結婚や出産などの理由で、これまでの賃貸暮らしではなく思い切ってマイホームを購入しようと考える人は多いです。
結婚、出産などは、いずれも生活面の変化があり、同時に住居費以外でも出費がかさむ場合がほとんどです。
また、この場合は家族が新たに増えますので、住居費も含めた家計全体を見直すのに最適な時期であるとも言えます。
おすすめの対処法
結婚出産において、今後の住居をどう考えていくかの基準になるのは「ライフイベント表」です。Web上にて無料で利用できる作成ツールもありますが、Excelなどを用いて簡単に作成することもできます。
ライフイベント表とは、家族全員の年齢を将来に向かって1年ごとに記し、何年後にどのようなライフイベント(小学校入学など)があるのかを把握するためのものです。
結婚や出産を期にマイホーム購入を考える場合は、教育費の出費が多い時期と住宅ローン支払い期間が重なることが考えられます。その点もふまえて、無理のないローン計画の目安にしましょう。
家賃を払うより購入が良いと感じた
現在、入居して5年目で月々8万円の賃貸物件に住んでいるとして、これまで既に480万円を住居費で支払っている計算になります。さらに5年住み続けると、10年払い続けた家賃のトータル960万円です。さらにあと10年住み続けると、20年の家賃総額は1920万円です。
この数字を見て、十分に購入できたのではないか?と感じる人もいるでしょう。
実際、賃貸は家賃を払い続けてもマイホームにはなりません。一方、同じく月8万円の住宅ローンを払ってマイホームを得ることもできます。
おすすめの対処法
自身にとって、購入と賃貸どちらが良いかメリット・デメリットを検討してみましょう。
たとえば、賃貸であれば家賃以外の住居費は発生しません。台風により網戸が破けてしまった場合でも、管理会社に連絡をして無償で張り替えてもらうことができます。
一方、マイホームを購入した場合では、月々のローン支払いと別に、固定資産税や、家の修繕費も発生します。もちろん火災保険でまかなうことはできますが、一般的には賃貸物件に住んでいる時よりも保険料は高くなります。
これらのメリット・デメリットを材料にして、自身の場合はどちらが良さそうかじっくり考えてみましょう。
たまたま良い物件を見つけた
不動産情報やポスティングされたチラシを見て、たまたま気に入った物件に巡り合う場合もあります。便利のよい場所にある新築マンションであれば、郊外に住んでマイカー通勤をするよりも時間的にも精神的にも負担が減る場合もあります。
ただし、このように事前準備がなく、たまたま物件を見つけたことをきっかけで家を買おうとする場合は、金銭面の不安を抱える人が多い傾向にあります。
おすすめの対処法
住宅購入時の金銭面の不安を解消するには、住宅ローン事前シミュレーションを活用しましょう。勤続年数や住宅ローン以外の借入の有無、頭金の有無、毎月確実に支払うことができる金額、ボーナス払いを利用するかどうか、など、シミュレーションで提示されている項目に入力します。(関連:今すぐお金を借りる時はどうしたらいい?)
実際にどれくらいであれば、自分の収入でも購入できるのかを知ることで、マイホーム購入のイメージがより具体化されます。
そこで「購入可能である」と判断した場合は、是非住宅ローン金利の比較も忘れないように行いましょう。なお、最近はインターネット銀行の住宅ローンを利用する人も増えてきました。
老後資金対策としては購入が良い場合も
ここまで3つのパターンで、購入を悩む場合について解説しました。
家を買うのは簡単なことではありません。しかし、長い目で考えると早めに購入するという選択もできます。
老後の賃貸暮らしの注意点
現在、公的年金の支給開始年齢は65歳です。65歳以降の主な収入は年金になりますが、もし賃貸暮らしの場合、その年金から家賃を支払うことになります。
厚生労働省によると、男性の年金受取月額の平均は、厚生年金(国民年金を含む)で約16万円です。女性では、約10万円、男女合計の平均として約14万円ということです。
このうち家賃が5万円とした場合、男女平均の年金受給月額14万円で計算をしても、残り9万円が生活費に充てられるお金ということです。
ここから社会保険料、食費、水道光熱費を差し引くと、時には赤字になることも考えられます。
早めの対策が必要
貴重な収入減である年金のうち、家賃の支払いは時に負担になる場合もあるでしょう。
もし可能であれば、早い段階で購入を検討してみることもおすすめです。
ローン完済後は、年間の固定資産税と火災保険、修繕などが発生した時のみ実費精算という程度の出費で済みます。
また、事情により購入を検討出来ない場合は、生活の変化に合わせて、負担にならない家賃の物件に引っ越すなどで対応可能です。
必ずしも購入が良いというわけではありませんが、優先したいのは「家計全体において、負担にならない住居費か否か」という点です。
まとめ
家を買おう!と思い立っても、なかなか簡単には決断出来ないものです。では、どういう理由で買おうと思ったのか、それに対してどう対処すればよいのか、本記事を是非参考にしていただき、良い方向に進むサポートになれば幸いです。