子ども食堂の目的とは?【デメリット・メリットについて深堀】

 

 地域のボランティアや自治体がメインとなって、無料または100~300円ほどの低料金にて子供たちに食事提供をするコミュニティの場であり、現在では全国各地、約2300ヶ所で行われている「子ども食堂」。

この数年で急増しているようですが、まだ一度も行ったことがない、目にしたこともないという人も多いはず。

今回は、そんな子ども食堂について、その目的や問題点などをまとめてみました。

※また、子ども食堂がある場所など、詳細については、「子ども食堂ネットワーク」のサイトをご参考にどうぞ。

 

 

 

普及する子ども食堂~その目的とは?

 

まずは、子ども食堂がどのようにして始められたのか、どのようなことを目指しているのかをご紹介していきます。

 

子ども食堂の始まり

 

その始まりは2012年、東京都大田区で「気まぐれ八百屋だんだん」を営んでいた近藤博子さんが、朝食や夕食を当然のように取れていない子供たちの現状を知り、立ち上げたことにあります。

現社会で隠れている貧困に対し、近藤さんが自身でできることを「子ども食堂」として始めたそうです。

そこから、東京都豊島区での子ども支援ネットワーク、「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」で取り入れるようになり、子ども食堂が全国各地に広がっていきます。

 

子どもの貧困率16%超~子ども食堂を貧困対策に

 

現在、6人に1人の子どもが、目にできない貧困に陥っているとされています。

その対策のために、食事を満足に取れない子供たちを対象とした子ども食堂は、料理をする人や食材提供者などの協力により、無料または100~300円ほどで子供たちに食事提供をするというスタイルがベースになっています。

※参考

農林水産省 「子ども食堂について」

農林水産省 「子ども食堂と食育」 

各地で行われる頻度は地域によりますが、「月1回」、「2週間に1回」などが多くを占めていて、「ほぼ毎日」はわずか。

毎日利用できるイメージの食堂とは違い、イベント的感覚で参加している子供たちが多いかも知れません。

そして、子ども食堂の運営に携わっている人たちには、生活困窮家庭の子供たちを支援したいという強い思いを根底として、他にも様々な目的を持っているようです。

農林水産省の調査によれば、子ども食堂を行うにあたり、以下のような目的が多く挙げられています。

 

・仕事などで親が不在がちなために孤食を強いられている子供たちや、親による虐待などから家庭での食事が望めない子供たちなど、様々な事情を抱える子供たちのために、「地域での居場所」を作る

・食事のマナー、食文化、食事による栄養や食事自体の大切さを伝えるという「食育」

・高齢者はもちろん、障害者など地域の多様な人たちとの「共食」

 

2012年からスタートした子ども食堂は、短期間でその活動を全国に広めることとなりました。

その理由には、一世帯の所得が標準的所得の半分以下となる割合の「相対的貧困率」を政府が公表したことにより、表面上には見えていなかった貧困層の実態が、世間に認知されてきたことが挙げられます。

さらに、子どもにおける貧困層の増加、その世帯の多くがシングルペアレントであることから、孤食についても問題視されるようになります。

子どもの孤食などは、大人が抱える就職・離婚状況と深い関連性を持っており、その解決法は根本的に困難であることが現状です。

それならば、まずはできることから、せめて子どもたちの現況を少しでも改善しよう、美味しくて栄養バランスが取れた温かい食事をさせてあげようということが、子ども食堂をスタートさせる第一の目的でした。

 

 

子ども食堂のメリットとは?

 

子ども食堂が行われることで、子どもたちに美味しくて温かい食事をさせてあげられるということ以外にも、様々なメリットが生まれます。

 

子どもたちの新しい居場所ができる

 

子ども食堂はスタートがしやすく、子どもの貧困という問題が広く認識されるようになると、子ども食堂をしようという人、地域が増えました。

このようにして、子どもたちのためにと行動を起こす人たちが増えるということも、子ども食堂の大きなメリットでもあります。

そしてその先に、様々な悩み、困難な状況を抱えている子どもたちを迎えてくれる場所があること。

全国で拱手傍観的な現代社会を打ち砕こうとしていることは、日本にとっても大きなメリットと言えますね。

 

母子ともにゆっくりと食事ができるという魅力

 

平均して、子ども食堂を利用する子どもたちの半数以上が母親と一緒とのこと。

基本的に、貧困層に含まれる家庭を絶対条件とはしていませんから、「我が家は生活困窮家庭ではない」と、子ども食堂への来訪を遠慮する必要はありません。

ワンオペ育児や長時間労働などで疲労がたまり、せめて今日はご飯を作りたくない、家族以外の誰かと話したいと感じたママも、子ども連れで気軽に訪れていいのです。

そこで同じような境遇にいるママ友が見つかる可能性も大。

実例として、ボランティアのメンバーに相談をしに訪れるママもいるようですし、まだ小さな子どもを抱っこしながらの食事が難しいために、食事中に子どもを見てくれるボランティアのおかげで、安心してゆっくりとした食事ができるとリフレッシュを望んで訪れるママもいます。

子どもにとっても、家族以外で幅広い年齢層の大人とコミュニケーションを持つ、絶好の機会になっています。

大人の利用では、多くの場合が有料になりますが、子どもを無料で食事させてもらうことに躊躇する人は、子ども食堂に事前確認した上で、食材を持ち込み寄付するのもいいでしょう(ほとんどの地域で受け入れているようです)。

 

 

子ども食堂のデメリット・問題点とは?

 

当然ながら、何においてもメリット・デメリットがあるもの。

子ども食堂にもデメリットや今後の課題が多くあります。

 

本当に来て欲しい子ども・家庭の参加は??

 

子ども食堂は、誰もが利用できる場となっていますが、運営者にとって真の活動目的といえば、「生活困窮家庭の子どもたちを対象とした居場所作り」がほとんど。

とはいえ、多くの運営者が、本当に来て欲しい子どもたちやその親たちの参加が難しいと感じているようです。

もちろん、対象の子どもを運営者が把握することはあまりに困難ですから、学校の先生や地域の民生委員などに声をかけてもらうなど、学校や行政など周囲の協力が必要になってきます。

そのようにして、うまくいく地域はあるのですが、中には学校や行政などの協力が得られない、地域住民の協力さえも得られないという調査結果が出ています。

一例には、子ども食堂を町内会でスタートさせようとしたところ、「この地域に貧困層はいない」と言われたという話もあり、表面的ではない貧困についての認識・理解が、まだそれほど広まっていないとも言えます。

 

子どもたちを遠ざける運営側の高い期待

 

子どもの貧困対策という目的が根底にある子ども食堂ですが、運営者はやはり大人ですから、無意識に子どもたちへ理想・希望、高い期待を押し付けてしまうことも多々。

単に美味しくて温かい食事をさせてあげようというだけではなく、

 

・子どもの嗜好に合うかどうかよりも、栄養バランスが整った食事を第一に

・地域の農産物に慣れ親しんで欲しい

・食事前の手洗い、箸使いなどのテーブルマナーを習得させたい

・地域の人たちとともにコミュニケーションを大切にしながら食事をする楽しさを学んで欲しい

 

など、食育はもちろん、地産地消、地域や異世代交流といったことも子ども食堂に強く求める人が多くいます。

大切なことではありますが、あまりに高い期待を押し付けてしまうと、子ども食堂を行う基本的な目的である「子どもの貧困対策」の逆効果になることも。

子ども食堂にて、お箸の持ち方を注意されたり、野菜を全て食べましょうと言われたりしても、大人が求める「あるべき子どもの姿勢」に、突然応えられる子どもが多くいるはずもありません。

子どもたちの中には、言われた通りにできないから駄目な子なのだと感じ、子ども食堂を利用しづらくなることもあるのです。

 

子ども食堂を運営する費用の確保

 

子ども食堂は非営利とはいえ、運営には一般のレストラン同様、場所や調理器具、食材、備品などが必要となってきます。

そのためにはまず資金確保をしなくてはいけません。

調査によれば、子ども食堂の約70%が、地区町村や社会福祉法人などが設けている助成制度を運営のために活用しているという結果が出ているようです。

他に、金銭の受け取りはなくても、地域の農家やスーパー、JA、食品メーカー、NPO活動による「フードバンク」などから食材の無償提供を受けるなど、様々な工夫もされていますが、やりくりに苦労している団体もあるようです。

 

開催場所の確保と管理の難しさ

 

子ども食堂を開催する場所についても、周囲からの協力なしでは確保できません。

公民館や児童館などの公共施設が多いようですが、借りるにもやはり費用が必要になります。

他に、定休日である飲食店や、教会などといった宗教法人から場所の提供もあるようですが、光熱費などは支払わなくてはいけません。

 

継続的にサポート可能な人材の確保

 

子ども食堂で食事提供などお手伝いしてくれる人材は、ボランティアの場合がほとんど。

ですが、食事量はかなりのものですから、人材もある程度必要になるのです。

しかも、子ども食堂を開催する度に動いてくれる人の確保はなかなか難しいとされています。

また、補助金を受ける条件として、食品衛生責任者の配置を求める自治体も少なくないようです。

 

管理能力を問われるケースも少なくはない

 

子ども食堂によっては、加熱調理したものだけを提供するなど、十分な注意を払っているところもありますが、やはり食中毒といった心配事も問われています。

調査によれば、約80%以上の子ども食堂が、開催前に保健所へ相談し、衛生管理についての知識を持つ人をスタッフに迎え、万一のために保険にも加入しているとのこと。

とはいっても、法に従って営業許可を得ている通常のレストランなどとは違うわけですから、利用者にすれば、全く知らない人が作った料理を子どもが口にすることに不安を感じても当然と言えるのではないでしょうか。

 

開催する回数が少ないこと

 

人材や資金確保などの問題から、子ども食堂を毎日開催するのはとても困難であり、月に1~2回という開催数がとても多いようです。

回数が少ないために、子ども食堂を利用したいと思う時にはオープンしていない、親が子どもたちを連れていけないということもあり、しっかりとした子どもたちの居場所作りには、開催回数を増やすことが重要になります。

 

非常に難しい、子ども食堂の継続

 

子ども食堂は始めやすいと既述しましたが、同様に閉鎖しやすいということも言えます。

活動を継続することこそ、その居場所を求めている子どもたちにとって大切なことであり、今後も上記に挙げてきた様々な問題点を改善へと導く必要があります。

 

 

子どもの貧困対策として始まった子ども食堂は、全国的な広がりを見せているものの、問題の解決になっていると断言できないことも事実。

ですが、見えない貧困にある子どもたちに限らず、地域の子どもたち全てを受け入れることで、子ども食堂についてますます認識が高まっていくでしょう。

そうして、子ども食堂に関わりたいという大人も増えるはずですから、子ども食堂の存在により、子どもの貧困を含め、地域における様々な問題が少しずつでも改善されていくことは確かと言えるのではないでしょうか。